National Gallery (London)を解説&おすすめ絵画の紹介
皆様こんにちは!
いつもブログを読んでくださって、ありがとうございます。
以前、休日は美術館や博物館にお邪魔することが多いと紹介させていただきました。
これまでは自分が自由に回るだけでしたが、皆様がロンドン、イギリスの旅行を計画された際、微力ではありますがお役に立てればと思い、私のお気に入りや印象に残った博物館・美術館をこれからいくつかご紹介していきたいと思います。
ご紹介するのは、博物館・美術館の基本情報とともに、ちょっとした豆知識や歴史的背景、気に入った絵画や展示品の大まかな解説などになります。
第一弾の今回は、ロンドンの有名な観光地トラファルガー広場にある「The National Gallery」(ナショナルギャラリー)をご紹介させていただきます。
ナショナルギャラリーについて
ナショナルギャラリーは2024年の今年、なんと開館200年を迎える、とても歴史のある美術館です。200年前の1824年の開館時より、絵画専門の美術館として無料で市民や観光客に愛されてきました。
所蔵されているコレクションは、13世紀~20世紀のヨーロッパ絵画2300点以上と多岐にわたり、レオナルド・ダ・ヴィンチ、クロード=オスカル・モネ、レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レインといった有名画家の多くの作品が展示されております。
1824年、最初の38点の絵画は、銀行家ジョン・ジュリアス・アンガースタインの個人的な美術コレクションからのもので、展示と保存のために適切な場所を提供することを条件に、自身の絵画コレクションを寄贈したことが始まりでした。専用のギャラリーが建設されるまで、絵画は 100 ポール モールのアンガースタインの家に展示されており、10年後の1834年に105番地に移動、そして長い議論の後、最終的にトラファルガー広場が選ばれ、新しい建物は 1838 年にようやくオープンしました。
トラファルガー広場は、富裕層はロンドン西部から馬車で、貧困層はイーストエンドから歩いて行くことができ、できるだけ幅広い一般の人々が楽しめるようにとのことで、選ばれました。
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基本情報
住所:Trafalgar Square, London WC2N 5DN
公式サイト:National Gallery / https://www.nationalgallery.org.uk/
開館時間:午前10時~午後6時(最終入館 午後4:45)
金曜のみ午前10時~午後9時(最終入館 午後7:45)
公式ホームページにて要確認
休館日:12月24日~26日、1月1日(クリスマスとお正月)
急な休館日もある得るため、都度ホームページで確認をしてください
入館料:無料(有料の特別展を除く)
予約:事前の入館予約を強くお勧めします。入館予約は無料です。
National Gallery / Plan Your Visit
1) “ Gallery entry + free exhibitions” から、”Find out more and book” のボタンを押し、”Book ahead” を押してください。
2) “Continue to book entry” を選択して、予約をしたい日付を選択 -> 時間を選択してください。
3) “Fully Booked” が記載してある日付は、すでに予約でいっぱいの日になります。
ご旅行などで滞在日程に限りがある場合には、できる限り早い予約をお勧めします!
館内地図
館内は主に4つの時代やテーマに分けられ、グランドフロア(0階)とメインフロア(2階)の2フロアで構成されています。
2024年現在は、Sainsbury Wing にあるギャラリーが非公開になっておりますので、それ以外のギャラリーをご紹介します。Sainsbury Wingのギャラリーが再開次第、改めて情報を更新します!
National Gallery Map
Room 9-29 メインフロア(2階)
ルネサンス、オランダ、フランドルの絵画
クラナッハ、ホルバイン、レオナルド、マンテーニャ、ラファエロ、レンブラント、
ルーベンスなど。
Room 30~45 メインフロア(2階)
17世紀、18世紀、印象派の絵画
コンスタブル、ゲインズバラ、ピサロ、レーニ、ルソー、スーラ、
ドラローシュ、ゴッホ、ヴィジェ・ルブランなど。
Room B-F グランドフロア(0階)
中世とルネッサンスの絵画
リッピ、ペルジーノ、ピエロ・ディ・コジモ、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、ウッチェッロなど。
おすすめな有名絵画
『Belshazzar's Feast - ベルシャザルの饗宴-』
- Room 24 -
レンブラント・ファン・レイン
Rembrandt Harmenszoon van Rijn
旧約聖書・ダニエル書の5章(1-5、25-8)ベルシャザルが催した大宴会の最中に神の手が突如出現し、壁に文字を記す場面を描いています。
中央の巨大なターバン、小さな王冠をかぶった男は、バビロンの王ベルシャザルです。
彼が盛大な宴を催した際に、父王がエルサレム神殿から略奪した貴重で神聖な器杯を使用したところ、雷が鳴り、謎めいた灰色の雲の中に手が現れ、ヘブライ文字で壁に書きました。
“Mene, mene tekel upharsim(メネ、メネ・テケル・アップハルシム)”
バビロンの賢者たちに言葉を翻訳させましたが、誰も理解できなかったため、ユダヤ人の預言者ダニエルが連れてこられました。
彼は王に、王国は終わりを告げられており、ペルシア人とメディア人の国が作られ、このお告げから逃れることはできないと伝えました。その数時間後、その夜のうちに、ベルシャザルは殺されました。
『The Arnolfini Portrait - アルノルフィーニ夫妻像 - 』
- Room 28 -
ヤン・ファン・エイク
Jan van Eyck
この絵画は世界で最も有名な肖像画の一つといわれています。
この絵画は今でも研究が進められており、部屋に佇んでいる豊かな身なりの男女は、ベルギー北西部ブルージュで働くイタリア商人ジョヴァンニ・ディ・ニコラオ・ディ・アルノルフィーニとその妻と憶測され、鏡の中の男は、ファン・エイク本人が召使いを連れて訪ねてきたとされています。
ちなみにモデルはジョバンニ・ディ・アルリゴ・アルノルフィーニであるのでは?ともされています。
長い間、女性は妊婦であると考えられてきましたが、当時の婦人たちの間でよく見られた、かさばるガウンを前に掲げていて、おなかで布の重みを抑えているだけという説が今は出てきています。
部屋自体も、夫妻の家を忠実に再現したものではなく、アルノルフィーニの美的目的に合うように、かつ願望に沿うように改変したと想定されていす。
よく見ると、背景にある小さな凸面鏡には4人の人物、部屋の中、シャンデリアも描かれています。(肉眼では難しかったので、私も写真を撮って、拡大して観ていました)
『An Experiment on a Bird in the Air Pump - 空気ポンプの実験-』
- Room 24 -
ジョセフ・ライト
Joseph Wright
この絵は18世紀半ばに描かれた科学の実験風景です。
10人の聴衆が講師の周りに集まっていている実験は、ガラス器具を使った真空実験で、空気がない状態で生物が生きていることができないと証明するためのものです。閉じ込められたオウムは、その実験の証明のためです。ポンプで空気を抜いて真空を作り、そこから空気が送り出されて真空状態にしていきます。夜、大きな丸いガラスの後ろで燃える一本のロウソクで照らされている状態が、より恐怖を誘います。講師は空気を完全に抜いて鳥を殺すのか、それとも空気を戻して復活させるのか、まるで生死を左右する神のような力を彷彿とさせます。幼い少女たちは不安げな表情を見せたり、直視できない様子が描かれていますが、大人たちはどことなく恐怖より好奇心が勝っているように見えます。
この作品は当時の科学実験を再現していますが、静物画のジャンルの一つであるヴァニタス(Vanitas)の演出も兼ねており、時の流れ、人間の知識の限界、生命そのものの弱さを思い起こさせます。
1768年当時、この実験は1世紀以上も前に発明されていたため、目新しいものではありませんでしたが、一般大衆に影響を与えたことが新しいとされていました。一般の人々が「科学」に接したのは、町のホールであったり、今回のように個人的に招かれて、巡回する講師による実演のようでした。ライトはこの作品の中で、大衆の新しい学習意欲を賞賛しています。
『At the Theatre (La Première Sortie) - 劇場にて(初めてのお出かけ)- 』
- Room 44 -
ピエール=オーギュスト・ルノワール
Pierre-Auguste Renoir
パリのオペラ座・ガルニエ宮のバルコニーに座る二人の女性が、舞台の方を向いている様子が描かれています。ルノワールは背景よりも人物の描写を重視しており、この絵でも背景の人物や建物がぼかして描かれているため、中央の女性がより視線を誘います。劇場での女性を描いたこの絵画、しかしこの中央の女性は横顔のみ、そして隣の女性の顔はボンネットにより隠されることで、表情ははっきりとみることはできません。彼女たちが何歳なのかも判断できませんし、何を見ているのかも明確にはわからない、謎めいた感覚に陥ります。身を乗り出すような姿勢から、劇場で知り合いを見つけた瞬間を切り取ったようにも見えます。
実はこの絵画、ルノワールはタイトルを残していませんでした。「劇場にて」は当時の通称であり、50年後1923年にオークションにかけられた際に、初めて「初めてのお出かけ」というタイトルがつけられました。黒衣の女性の若々しさ、その姿勢からうかがえる興奮、そして花束を手にしているということで、このタイトルがつけられたとされています。
『The Execution of Lady Jane Grey -レディ・ジェーン・グレイの処刑-』
- Room 45 -
ポール・ドラローシュ
Paul Delaroche
サテンの純白のドレスを身にまとったレディ・ジェーン・グレイは、1553年のエドワード6世の死後、わずか9日間だけイングランド史上初の女王として君臨しました。ですがエドワードの異母姉で相続人のメアリー・テューダーを支持する一派によって退位させられ、反逆罪で裁かれたレディ・ジェーンは、1554年2月12日に、夫とともにロンドン塔の屋外で斬首されました。権力闘争と宗教対立に巻き込まれた彼女は、わずか16歳4か月でした。衝撃的なシーンもそうですが、絵画の大きさにも圧倒されます。
この絵画は、目隠しをされたレディ・ジェーンが自分が首を置く斬首台を探している様子を描いています。首を出すために襟が大きくあいた服を着ており、床の藁は首を落とした後の血が飛び散らないようにするためです。地面にへたり込み、失神寸前の侍女の上に置かれているのは、レディ・ジェーンの外套です。彼女の背後には、二人目の侍女が壁に向かって泣いています。中央の男性は当時の監獄の侍従長であったジョン・ブライドゲス卿で、右側には処刑人が待機しています。
よく見ると左手の薬指には結婚指輪が光っており、短い結婚生活の物語を劇的に描いているようにも見えます。
『The Virgin and Child with Saint Anne and the Infant Saint John the Baptist ('The Burlington House Cartoon') - 聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ - 』
- Room 17a -
レオナルド・ダ・ヴィンチ
Leonardo da Vinci
聖母マリアは母の膝の上に座り、キリストの子に注意を向けています。母親の聖アンナは、深い眼差しでマリアをじっと見つめ、天を指さして、キリストが神であることを示している。キリストの子はいとこの洗礼者ヨハネの方に手を伸ばし、祝福のしぐさを見せています。
こちら、かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた、現存する唯一の大型デッサンとされています。糊で貼り合わせた8枚の紙に木炭と白チョークのみで描かれており、彩色は一切ありません。ちなみに、ダヴィンチが生きていた時代にはこのような大きな紙はまだなかったため、貼り合わせて作られたそうです。原寸大の絵画の下絵として構想されたとされていますが、非常に完成度が高く、今となっては失われてしまった絵画の唯一の記録の可能性も示唆されています。また、この素描は絵画の準備のために描かれたのではなく、それ自体が芸術作品として意図されていた可能性もあります。
このデッサンはロンドンのロイヤルアカデミーが保存していた際に使用していた建物にちなんで、「バーリントン・ハウス・カートゥーン」とも呼ばれています。
ミュージアムショップ・カフェ
すでに皆様ご存じかと思いますが、イギリスの博物館・美術館はミュージアムショップのラインナップが大変豊富で、日本へのお土産選びにも最適です。
こちらのナショナルギャラリーの中にも2か所のミュージアムショップがあり、プチプラのばらまき用から、自分へのご褒美のアクセサリーなど、大変かわいらしい商品がそろっておりますので、ぜひ立ち寄ってみてください。
どんな商品があるか見てみたいという方は、ぜひ公式サイトをご覧ください!
<Grand Floor のショップの様子>
<Main Floor のショップの様子>
カフェやレストランは合計3か所ありますが、すべてグランドフロアのみになります。
中央にあるEspresso Barは軽食がメインのカフェになります。
座席数が多めで、少し休憩したい方はこちらをのぞいてみてください。
右手にあるMuriel's KitchenとOchre Restaurantはカフェとレストランがつながっています。
Muriel's Kitchenは座席数はそこまで多くないですが、窓際で居心地のいいエリアになります。
Ochre Restaurantは広々とのんびりしたレストランですので、長めに休憩したい・お昼ご飯を済ませたい方にはピッタリです!
<Espresso Bar>
<Muriel's Kitchen>
右手の水色のドアがレストランへの入り口になります。
まとめ
ギャラリーを楽しまれたら、ぜひ寄付も検討してみてください!
寄付は現金でもカードのどちらでも受け付けています。
寄付ができる機械はギャラリー内のいくつかの場所にこのように設置されています。
この写真の場合は、カードやスマホでタップすることで、一律£5寄付できる設定になっています(もちろん寄付したいお値段の設定も可能です)。
寄付はちょっとハードルが高いかも、という方も、カフェをご利用いただいたり、お土産を購入されたりすることで、博物館・美術館の維持への大きなサポートになります。
このページでは紹介しきれないほど、National Galleryには有名な絵画が多く保管されています。
ぜひ一度訪れて、ご自身のお好きな絵画を探してみてください!
短い紹介ではありますが、少しでも皆様のお力になれば幸いです。
Thanks for reading, have a lovely day!